白・黒・赤



今はまだ日の出が遅い。
子どもが起きる時間でも
太陽は山の下。

起きてぼんやり
ストーブにあたっていると
雪に覆われた
真っ白な山の稜線の
木々の影の間から
真っ赤な灯火のような
光が差してくる。

少しずつ灯火はひろがって
強い光を放つと

近くの雪山や
木の枝についた雪、
溶けかかって凍った枝先の氷玉が
虹色に輝き始める。

光のさす角度が
ちょうどいいんだね、
朝が一番、虹色なんだ。


白・黒・赤。
はっきりとしたコントラストの
この組み合わせは
割合によっては
きつく映るだろう。

この、北国の冬にみる
白・黒・赤のバランスの
絶妙なことといったら!

これを思う存分ながめられる
古い我が家の大きな窓よ!
(窓が大きければ
 むろん、寒い。
 新しい家は、ほぼ小さい。。)


心底、それがうれしいなあと

さす光を反射しながら
きっと年甲斐もなくキラキラ
目を輝かせていられるのは

もしかしたら、やっと今年、
6回目の冬を迎えたところで、
なのかもしれない。


はじめはハッとして、
でもいつも味わう余裕はなかった。
次の年はもっとハッとしたかもしれない。
そして3年目から少しずつ
自分のことだという実感が芽生え
5年目でほぼ味わうところへ。

そしてようやく、、、
ぐらいかなあ。

これからは、だんだん
深まっていくのかなあ。

なんだか、この冬は
そればっかり!
家族にも
何回も言ってるナ。


白・黒・赤は

冬じゅうずっと実を残したままの
北国ではおなじみの街路樹でもある
ナナカマドの木や
コリンゴの木、
そしてヤドリギなんかでも
みられるんだ。

晴れていたら
そこかしこにみられる。

そしてそこに
ちょうど今頃
鳥たちはやってくる。

日本で越冬するツグミ
ヒレンジャクの群れが
やってくる。

ちょっと遠く
裏山の方から聞こえる
キツツキたちの
ドラミングの音と

3色のコントラストと

鳥たちのさえずりで

北国の朝ははじまる。


しん、と澄んだ
きぃん、と凍れる
空気のなかで。