口は最小限で



夕飯のお手伝いをしてもらっている最中、
涙目にさせてしまった。


すりおろしたり、包丁で切るのが好きなのは、
たぶん、リズムがいいからなんだろうと思う。
包丁も、トントントン、という響きに
あこがれているんじゃないかなあ。


持たせると、はじめは慎重でも、
すぐに突っ込みがちになるんだよね。


手先が器用なボウズ、
2歳ぐらいから包丁をつかっているが、
か~さんはまだまだ、ドキッとすることも多いので
ついつい口が出ちゃうのだ。


「猫の手ね、猫の手!」
とくり返していたら、ボウズが疲れちゃった。
それで、手をとめて、涙目をみせた。


そんなに語気は強くなかったと思うのだけれど・・・
せっかくの楽しいお手伝いタイムが・・・
か~さん、反省。


少し休憩して、ほめまくり持ち上げモードで盛り返し、
ボウズは無事、ダイコンの葉っぱを1本分、
うつくしく小口切りにすることができた。
その達成感で、涙目は忘れているといいけれど!



さいきんまた、か~さんのやることを
即座にコピーして再現することが多い。
自分の持ち出せるもの、積木や紙切れなどを
適当にみつくろって持ってきてさ。
手帳にメモとか、宅配の注文とか、
料理のあれこれだとか、何でも。
これって、チャンスなんだよね。


包丁使いも、また成長していた。
「猫の手…左手の支え方のポーズ」はバッチリ修得して、
はやる気持ちをおさえながら、ていねいに切ることができる。


涙目になったボウズをみて、瞬時に、
自分の幼いころの思い出がよみがえった。
ああ・・・3歳で、この思いになるのね、と。
ボウズに何か伝えるには、とくに、
怒ったりせかしたりすることは、全く意味がない。
意味がないどころか、身を縮まらせ、
ヤル気をそいでしまうだけ。


ゆっくり、一緒に、楽しく毎日を過ごすこと。
そのなかから、勝手にすくいとれる。
そういうふうにマイペースで、
興味を持って観察することから覚える、
ボウズだって、そのほうがいいんだ。


か~さんは、自分の作業を、ただ、
こころをこめて楽しめばいいのだ。
そしてそれを、何よりものぞんでいることを、
思いださせてもらえている。
なんというか、ある意味、根は育児向きな嗜好を、再確認。
その自分に最適なボウズよ、いつもありがとう。