みないで!~その2~



か~さんの余計な気の光線は
思っている以上に、うざったいのであろうよ。
ボウズのみずみずしい、健やかな生命力の
ジャマになってしまうものに違いない。


「みないで!」



集中したいとき以外にも、か~さんにそう言うときがある。
ボウズの皮膚に何か変調があったり、
目がはれぼったいなと思ったり、
どうも眠そうだぞという感じがしたり、
そんなときにか~さん、
ついついじっとりねっとりと、
気になるところを見つめてしまうからだ。



最近いちばんおもしろかったのが、
ボウズの手にトゲがささったときのこと。
痛いくせに、赤く腫れているのに、
大丈夫と言いはって、その指をかくしてみせないんだ。
涙ひとつぶぽろりしながらも、みせない。
反対側の脇にはさんで隠すぐらいだったんだ。
次の日も、その次の日も、
「ちょっとみせてみて、大丈夫なんだから、いいでしょ。」と、
なんとかトゲを抜いてやろうとするか~さんだったが、
「みないで!」とかくす、ボウズの頑さに負けてね…。


もういいや、自然治癒力でトゲをどう出すのか、
もうほっておいて観察してやる、と
か~さんはすぐにあきらめた。
そして、忘れかかった数日後の朝、
「ほらみて! もうトゲささってないよ!」って指をみせて、
ボウズはうれしそうに報告してきた。


やっぱり、トゲがささっていたって、
自分でもそう思っていたくせに~と笑ったけど。
赤く腫れたようになっていたところは
すっかり平坦になって、
トゲが抜けたあとの皮膚がちょっぴり、
うすくむけていただけだった。
無理に抜かなくても、ちゃんとでてきたんだ。
化膿したり痛みがひどくなることもなく。


すっかり、ボウズには負けたなぁ、と思ったんだ。
か~さんの余計な思い込みや心配や偏見で、
幼子の持つ力が発揮されるのを邪魔することって、
ほんとうにあるのだろう。
というか、むしろ、か~さんの考えることなんて、
邪魔になることのほうが多いのではないか!?


そして今日また、「みないで!」ときっぱり言われた。
それは腕にできた水泡をみつめていたとき。
うわぁ、かゆそうだなぁ、と思ったら
自分がなんだかゾワッとしてきちゃって、
そういうゾワゾワした感覚の光線を
送ってしまっていたんだよねぇ。


「みたら、かゆくなっちゃうよ。」と、
今度は、はっきり、きっぱりと言われたんだ。
ええ、ええ、そうだろうとも!
よくわかるよ…。


なるべく気にしないようにしておこうっと……。