運び屋



カラスノエンドウのちいさなサヤを
「お豆もらうね」とひとつ、ちょうだいして
大事に持って歩いていたボウズ。


口にくわえてみたりしながら、
飽きずに持ちつづけていた帰り道、
突然、しゃがみ込んで言った。


「オハナさんにさぁ、おまめ、あげようか?」


歩道脇の植込みの中をのぞいて、
おまめをあげるオハナを探している。
サヤをほぐして、中から豆をとりだしたら、
すこしずつ、それをまいていた。


そういうふうに植物をちぎることもたびたび、
小石なんかも持って来ちゃったりしているが、
種の運び屋さんになっていたのかもね~。