保存された街並に



岐阜県は美濃・郡上八幡へちらりと。


前日になかば付合いで行った「愛・地球博」のあと、
梅雨の晴れ間の快晴、湿度も低い、さわやかな天気のなかで。


水のきれいな郡上八幡
川のほとりの「宗祗水」で湧き水をいただく。


味のクセのない、これぞまさに「水」というような水だったけど、
とても有機的な、生きているイメージ。
ひとくち含むだけで喉のかわきがしっとりと癒されて、
長時間ドライブでこわばった体がやわらかくなってきた。
じわじわ汗もにじんできて、
歩きながらふわっと身軽になる感じが
なんだかうれしかった。


美濃では、「旧今井家住宅・美濃史料館」に立寄る。
江戸中期に建てられ、明治初期に増築されたと考えられている
和紙問屋さんのお屋敷だ。
ほとんどの部屋に立ち入ることができる。
今日はお客さんも少なかったので、
ずうずうしくすみずみまでおじゃまさせていただいた。


外の天気の、ちょっと暑いことも感じられるのだけれど、
風が通ってさわやかな居心地。
じっと座っていても、とても落ち着く。


庭では『水琴窟』の初体験。
底に小さな穴をあけたカメを逆さにして埋め込んであって、
そのうえには石がおかれている。
ひしゃくで水をすくってその上にたらすと、
穴から下へ落ちて、カメの中で反響するというしかけ。


あまり大きな音ではないので、自然に、あたりの気配に耳を傾け、
集中することになる。
「カン、カラーン」と澄んだ音を聞きながら
庭や水面の光のゆらぐのをながめていると、
何時間でもそこで過ごせそうだった。
すっかり屋敷の主の気分になってしまって、
そんな粋なしかけの遊び心にうっとり。


どちらの土地の空気も、湧き水のように、
自然のいろいろがまざったような、
やわらかい肌ざわりだった。


日本っていいなあ、
土地のめぐみと仲良く暮らすっていいなあ、
と素直にゆったりとした気持ちに。


そういえば、万博のテーマは「自然の叡智」だった。
そんなようなことが、
昨日よりず~っと身近に感じられた
今日の出会いだったなあ。