家のなかにも氷は張るのであって


北国の、古めの一軒家でおこること。
それは、凍結。

すぅいど~~お とーけつ!
す~~いど~~ と~~けつ!

って、いやに覚えやすい歌が
ラジオCMで流れていたのは
一昨年あたりのシーズンだったか。
一年で消えてしまったのは
笑えなかったからか!?

いくら元栓を落としても
凍るときは凍る。

友人宅は、帰省中に
便器が割れてしまった。
ずっと北国で暮らすベテランで
いろいろな対策を知っていても
そういうこともあるらしいのだ。


あまり使っていない
1Fの北の和室で

ある、よく凍れた朝に

見慣れない景色が
浮かびあがっていて

氷瀑』!?
ホログラフィかなにか!?

完全にみたことがないぞ、
しかもここは家の中だったはず、

・・・と近づいてみると
壁一面、バキバキに
流れた水のかたちがそのまま
凍っていたこともある。

スガモリ、というやつである。

屋根の排水溝が落葉で詰まっていて
溢れ出した雨水や雪溶け水が屋根裏へ、
というやつである。

初歩的なミスである。

初歩的でありながら、
ベテランにも起こりうる
リスクでもある。


今シーズンは
凍れる寒さが長続きせず

ときに、シーズンらしからぬ
暖かい日もあったせいか

少しの凍結の気配もなかった。


それが、ついに来た。

やはり1Fの北側、山側にある
風呂場や洗面所に
氷が張っているのだ。

家の中に氷が張るんだよ!

好奇心旺盛?な
観察好きのわたしは

スガモリの氷瀑
家の中の氷も
まず

『なははは!!
 みてよー
 家の中に氷があるよ~!』

と面白がってはみたものの。


日常起こることだと

『だってさあ
 家の中に氷が張るんだよ!!
 朝起きて顔洗おうと思ったら
 氷で水が流れないんだよ!!』

なんて調子になることも。

でも、でもですよ。

北国でもさらに深いところで
幼少期を過ごしてきた方などからすると

今さら何言ってるの?

ということなのである。

ためておいたストーブの上のお湯で
タオルを絞って水道管などを温め

湯たんぽの冷めたお湯で顔を洗い

じわじわ解凍されるのを待つ朝が

日常だったりしたそうなのである。


それが嫌で
新しめの家には

色々な文明の利器的工夫があったり
高層の集合住宅では気にしないでいられたり
するわけじゃないか、という、

何を好んでそんな

北国のくせに隙間風の入りそうな
古い家に住むのか、という、

あんたも好きだね、という、

そういうことになるのであるが。


まさに、そういうことを
日常として体験することを
好きこのんでいたのだと

つくづく認識するに至るまでに

それは
必要なことであったのだ。
ははは。


わたしはそういう風に
世界を知りたいんだ。


ある程度、人として
知力体力対応力忘却力などが
充実してきたところで

やさしめなところで
そういう体験をする、

日常から
意識の懐を広げてゆく、

そういう、器が

この5年のあいだ
新しく、氷さんたちにも
鍛えられた。


家の中の、

氷という、
凍結という、

すぐそこにある日常の
当たり前の異常事態にネ。