春はかおり、うっすら色づく
包まれるようにまとわりつく梅、
つん、と香って後ろ髪をひかれるジンチョウゲ、
その強い香りには、ぼんやりした意志も
目覚めをうながされるよう。
霞の中にうっすら桃色がさしてきた山景色には、
明日に向かう勇み足も立ち止まり、
おだやかな祝福の祈りにつつまれるよう。
足元にちらばるタンポポや花韮や大犬のフグリには、
行動への動機を、かるく明るく、
遊び心でくすぐられるよう。
モクレンのつぼみの量感と、清潔で静かな艶には、
ひとびとの、自分の、
芯の力を思いださせてもらえるよう。
物思いの散歩道、
ふとみあげると、
小高い丘のその地では、
真っ白な羽がたくさん踊って笑いかけるように、
モクレンがすっかり花開いていた。
モクレンの花言葉は、
持続性、自然への愛、壮麗。
みあげるものは・・・