やればできる



ちょっと急いでゴミ出しに行きたいんだけど、と
遊びに夢中になっているボウズに告げると、
「いってらっしゃ~い。」


「ほんと? 待ってる?」と言うと、
待ってる、いってらっしゃい、と
玄関前に座って手をふった。


まだまだ何が起こるかわからない3歳だけれど、
ほんの、マンションの1階までだし、
ちょっと試しにいってみるか、と
いそいで、か~さんひとり、でかけた。
すぐ戻れるようにエレベーターのボタンまで
押していったのだが。


エレベーターに戻ると、
1階に呼ぶボタンを押していったはずが、
自宅の階から降りてくる表示になっていた。
あれ、誰か降りてくるのかな、
じゃ階段で上がるか、と急ぎそうになったが、
待てよ、ひょっとして、と。


そしてまたエレベーター前に引き返したら、
やっぱり!


ひとりで上手に靴をはいたボウズが、
「あ!やあやあ!」ってな調子で、出て来た。


「このボタン押して、こっちも押して、で、
 靴はいて、ドア閉めて、か~さん迎えにきたんだよ。」
「やっぱりゴミ行こうと思って。」



靴のはきかた、いつになく、上手だったなあ。
しかも、すご~く、短い時間だったと思うけどなあ。
エレベーターのボタンも、いつも、
「こっち? こう?」としつこく聞くけれど、
ワザときいているだけだよねえ。


ほんとうに、せかすのはやめよう、と
また力強く思ったよ…。



さいきんは、ものすごい事を覚えていてびっくりしたり、
ひとりままごとなんかの途中のセリフに苦笑したりすることもたびたび。
か~さんがボウズ連れでスタッフをしている集いのことなんか、
「こんどの○会さあ(定例の集いの名称)、××町だよね、◆ちゃんも来るかな?」だとか、
「これは、○○通信にのせよっか」だとか言ってたり。


ほんの数回しか行ったことのないところで、
か~さん達が何をやっていたかまで細かく覚えていて、
駅名だとか、ちょっとしたキーワードで思いだしたりもする。
今日久々に訪れる場所のことを、
「○○駅の、○○さんの家に行くよ、○○ちゃんも一緒だよ、いい?」
とかって聞いてみたら、
「じゃあ、××しに行くの?」と
そこで参加した、とあるワークショップの名称をはっきり言ってさ。
そんなマニアックな単語、教え込もうとしたことなんかないもんな。
勝手に聞いて覚えていただけだ。


勝手にみたり、聞いたり、感じたりして、
もう、自分のまわりの身近なことは、
たいてい、身についちゃっているんだろうなあ。


でもまだその言葉は、思考とは、つながっていない。
その姿から、言葉の思考以前にたいせつなことを思うよ。
言葉と思考がつながるまえが、か~さんのチャンスだね・・・。