カラダがそうなっている



定期メンテナンス先に向かう足取りは重く、
その重い自分のカラダの状態を細部まで感じながら、
なせ重いのか考えながらの道中だった。


「この1ヶ月、どうでしたか?」


たどり着くまでにまとまらなかったので、うまく答えられない。
考えて行かなかったら、もっと素直に答えられたかも、
と思いつつ、まとまりのつかないままポツポツつぶやいた。


カラダの不調というより、心理面がちょっと、重苦しい感じ、と。
「具体的に何かあったんですか?
 このあいだは、お元気でしたよ。その間に何か?」


う~ん。違う。
少しずつ何かあったことが重なったのかもしれないが、
急にそうなった、というようなわかりやすいことではない。


「この時期、毎年そんな感じかもしれないんですけど…」
「はい、湿気の影響もありますからね。気分にも影響しますよね。
 (触れながら)う~ん、停滞しているところもありますね。
 やっぱりこのあいだより元気がないですよ、…おカラダが。」


何気ないその、つけたしのような、「おカラダが」という言葉が
その後、ずっと響いていた。


今はあまり動きたくない体だろうけれど、
もう少しすると、動かせるようになってくるから、
そこで汗をだせばまた変わりますよ、と最後に。


そうそう、あんまり、山歩きしに行く気にもなれなくて、
山の中の空気を吸ったら良いきがするのに、
そこまでたどり着けないんだよ、なんて思っていたっけ。



それでいきなり明るい気持ちになったわけでも、
スッキリしたわけでも、体がうんと軽くなったわけでもないが。
ひとつハッキリ決められたことがあった。
調子の悪いときに、あれこれ考えるのはや~めた、ってこと。


終わったらお昼の時間をだいぶんすぎていて、
なにが食べたいか、心の底から食べたいものがあったら
何でも食べちゃえ~、と自分にけしかけてみたが、何も出て来ない。
お腹は空いている気がするが、ゴハンもパンもうどんも違う。


「・・・眠い。」


帰りの電車から、帰って、用事をしなければならない
父子の戻ってくる時間まで、
もうな~んにもしないで、食べもしないで、そのまま寝た。
ホッとひと息つける飲み物だけ、飲んでね。



カラダが緊張して縮こまっていたのが、ほどけたよ。
油断するとすぐ胸のあたりからキュ~ッとしてきそうになるが、
「ほら、梅雨だからさ。カラダがそうなりやすいんだよ。」と
深呼吸をすると、縮こまらずにすんだよ。


梅雨だから、が、何パーセントぐらいなのか、
わからないけれども。
とにかく、調子の悪いときに考えても、ロクなことにならない。


だからといって3歳児のか~さんが、
考えすぎちゃうぐらいだったら、寝ちゃえ、ってワケには、
いかないんだけどさ。


キュ~ッとしそうになったら、
その恐怖感だとか、不安だとかに焦点をもっていくのではなく、
ほどけるきっかけをもらった、あたたかい手の感触でも思いだして、
深呼吸して、好きな物でも飲んだり食べたりして、
しばらく、ほっておけばいいね。自分を。
できるかぎり、やることへらしてね。


それから、音楽!
夕食後、テーブルでぼうっとしていたら、何か流れがかわって、
ふわっとカラダがゆるむのがわかってハッとしたんだ。
ボウズがかけっぱなしにしたCDがカラカラとまわっていた。
スピーカーのスイッチは入っていなかったから、無音だった。
そう、音楽も疲れる感じがして、あまり聴いていなかったんだけれど。
音を消していても、なにか流れているのか、それが良かったみたい。
ちょっとびっくり。
またやってみようっと。



ま、そんなことやこんなこと、いろいろあるわけで。
具体的にはっきり言葉にできることなんか、何もなかったわけで。


自分で自分に、言葉で呪いをかけるのはやめようっと。
型にはまって縮こまっちゃうもんね~。
「カラダ」から。
なんかハッキリ、しっくりこないときは
仕方がないから寝て待とう。
…気持ちで、「寝て」、待とう。



子は待てるが、自分は待てない。
それは、自分には、やっぱり、
何かしらの尺度をあてはめてみてしまうからかなぁ。
自分が納得してとりいれているわけでもない、外の指標を。


もう少し「カラダ」が元気になったら、
どうしたいのか、考え直してみよう。
いろいろ手を出していることを、整理してみよう。
今は、そういうときじゃない。
カラダが、そうなっていないから、やめとけ!