気合い勝ち



天敵発見。
たしか産後、自分は会っていないから
3年以上ぶりだ。


天敵だから、特徴もつかんでいて、
引越してすぐに出会ってから、
あやしい進入経路は徹底的に断っていたのだ。
そうやすやすとは、入って来れないはずなのだ。


でも、心あたりはあった。
ボウズのやつが、窓を開け放しちゃうことが多くて、
最近一度、開けたままうっかり数時間放置していた。
それから配水管の清掃もあって、
しばらく玄関を開け放したし、
詰まっているものをとるため、
解体したまま数分、誰もみていないときがあった。


数日前に、夜、ボウズが、
「わあ! かぁあさんっ! 虫!
 こわいこわいこわい! むし~!」と叫んでいたんだ。
洗面所と、リビングぐらい離れていたときで、
あとで尋ねた感じと、こわがりかたから、
どうも蚊とかダンゴ虫とかではなさそうだと思っていた。
手の指をかしゃかしゃやって「歩いてた」と言うし、
ドアのところにとまったよ、と言うのに、
か~さんが飛んでいったときにはいなかったもんね。
タランチュラ(と家では呼んでいる超早足のデカイ蜘蛛)か、
はたまた、あの、黒くて光っていてモウレツに早足のアイツか…。



その、ボウズが目撃したやつに違いない。
眼鏡をしていなくたって、3メートル手前から、わかるのだ。


あ、やっぱりな、そうか、今日、父子が寝ちゃって、
自分だけ起きていたのは、このためか、
なんて思いながら(笑)、眼鏡をかけ直して、
新聞紙を折り畳んで…。


不思議と、前より怖くない。
ゾワゾワも、たいしたことない。
必ずつかまえることができると信じている。
つぶすのがまた、大嫌いだったんだけど、
この遭遇の仕方では、つぶすより仕方あるまい、と
腹をくくれていた。


アイツ、自分より怖がっているな、というのが
なんだかよ~くわかったんだよね。


一度たたきそこねて隠れたアイツ。
箱の下にかくれて、その後どう動くか、
これまた天敵の研究成果で、予想ばっちり。
予想した方向に動くように、また慎重に箱を動かし、
追い込むと・・・


自滅しちゃった。
偶然のようだけれど、つぎの行く手をはばむために
イスを移動したら、その下にあった靴の下で
勝手につぶれていた。


あれ、どこ行ったか、とその先をしばし探したけれど、
急に自分のぞわぞわもすっかりおさまったので、
もしや、と靴をひっくりかえしたら、あっさりの結末。



間違いなく自分は、来合い勝ちしたな、と思った。
つぶれたのを処理するのは本当に苦手で、
その後やっぱりぞわぞわはしたんだけども。


もう、アイツに、気持ちが負けていない!
ついに勝った・・・!


なんだか、そんな達成感が。


ゴキごときのことでこんなに長々書いてしまうなんて
我ながら笑えるが、ささいなことのようで、
けっこう、ここ最近のポイントになるイベントの気がしたのさ…。