べったりじゃなくてもと~さんは



ここのところ、と~さんとふたりでお出かけ、も
と~さんとの電車遊びや工作も、
ボウズにとっては、すっかり定番の
楽しい週末イベントになってきている。


「じゃあ、と~さんとちょっと行ってくるからね。
 寝ててね。バイバイ。いってきま~す。」
なんて軽やかに出かけてゆく。
卒乳から半年も経っていないのにねえ、
ま、そんなもんなのだ、とうなずくばかり。


平日はほとんど時間が合わない
産後3年間だったが、
休日は、ボウズと遊ぶことに
自分の時間の大部分を費やしてきた
と~さんだったな、とあらためて思いだした。


と~さんは、おっぱい大好きボウズに、
自分の無力さを感じていたこともあった。
家事のやり方や、出かけるときの段取りなど、
産前との変わりように、とまどっていたこともあった。
自分も、もっとそのズレを急いで近づけようと焦って、
余計な言葉ばかり投げかけていたこともあった。


でも、そんな中、激務にくたびれた週末も、
ボウズと遊ぶことはやめないと~さんだったんだ。
それを3年間つづけてきたから、
今の父子の関係が成立っているのだ。


もっと自分の趣味のことをやったりして
気分転換してくれていいのに、なんて
疲労がみえると~さんを、もどかしく思ったこともあったが、
それがと~さんのやり方だったのだ。


3年ぐらいかからないとわからないこともあるし、
もっとそれ以上かかることだって、
生きているうちにはわからないことだってあるかもしれないのだ。


たとえ人の子の親になった夫婦だとしても、
育児に関しても、お互いのペース、それぞれのやり方は尊重し、
ただ、自分のやることだけにエネルギーを注げば良いのだ。
すべてを同じようにやる必要はない。
考えを正直に話し合うことは前提として、
あとはそれぞれの裁量というものがあるのだ。


と~さんは、ほぼ週末だけの付き合いで、
ボウズとの密な関係を築いたんだな、
べったりじゃなくても、
濃い時間を過ごすことでそうなれたんだなと、
出かけてゆくふたりの後ろ姿をみながら思ったよ。