こわくないよ、きれいだよ



「地球の食卓 写真展」
~世界24か国の家族のごはん~
へ、ボウズと一緒にふらりと。


『地球家族シリーズ「地球の食卓」』という写真集からの展示で、
世界各地のごくありふれた場所の、ごくありふれた家族の、
ごくありふれた食卓の風景が描かれていた。


世界旅行みたいな気分を味わえるかな、なんて
軽い気持ちでのぞいてみたら……、
多くの国で、パッとみて区別がつかないような食材たちが並んでいることに
ちょっぴり、どんよりした気分になった。


日本なんて、豊かで、マシな方だ。
ファーストフードや、レトルト食品や菓子、調味量は
どの国も似たような量産タイプのパッケージで、
「料理する時間がない」というコメントもちらほら。
大型資本のスーパーマーケットも、
想像以上に世界各国に広がっているのだった。
新聞記事など、文字で読むよりも圧倒的な刺激…。
わかりやすかった。


その、「ありふれた食卓」の、
『ありふれた』程度がいかほどなのかは、
計り知れないとはいえ……。


そのままだと暗澹たる気持ちで
世界の鬱、みたいなものの影響を受けそうだったが、
またしてもボウズのひとことによって救われた。


皮をはいで逆さにつるされた羊だとか、
中華街のように、臓物も丸出しの
調理前の豚などの写真もあったのだけれど、
そのひとつをボウズが直視して言ったんだ。


「あれ、なに~?」
「豚さんだね。恐くないの?」
「こわくないよ~。きれいだよ!」


きれい、だなんて。
ボウズの中で育っている、きれい、の概念が
よくわからないけれど。
どうしてその単語を選んだんだろう。


そうだよね、それはまだ、「死肉」という感じではなく、
表情もきっぱりとした、イノチの感じられる豚の顔だった。


イノチをいただく食。
子達は、たぶん、わかっているのだ。