自然、部分



人って、なんで好き好んで
自ら、勝手に分離しちゃって、
部分の不自由さを選んでるんだろう。
そのくせまた、全部になるために
悩んだり考えたり死ぬほどがんばったりしているんだろう。
なにかの修行をしているとしか思えないぞ!


不完全な「部分」でいること、そして
つながることへの「欲」と「不安」、
ぼ~~っと空をみて、海風を感じながら
そんなことをぼんやり思った午後。
ひさびさに、子を抱いたまま
学生の頃から慣れた散歩道を歩いたんだ。
少しずつ、ベンチ休憩を入れながら。




朝方セキこんで、鼻水たらしている子を
か~さんのイベントにつきあわせた帰り道、
オシッコのために寄り道したら
久しぶりに抱っこで寝てしまって。
今はとてもじゃないが、素抱っこでなんか、歩き回れない。
あきらめて、ベンチで休憩したんだ。


具合が悪そうだったからイベントを早めに退散したのに、
気分転換したかったのか、室内の籠った空気が嫌だったのか、
散歩したい、海がみたい、だのなんだの言って
すぐに家には帰りたがらなかった。


おかげさまで、なんだか贅沢な時間をもらったよ。
抱っこで寝かせたまま歩くのも、なつかしかったから、
いろいろな感情や考えがふつふつとしてきてさ。
深く掘り下げるように考えたのではなく、
ぽつっ、ぽつっ、と気づいたことや
つながったことがあって。
メモだけしておいてみようか、という感じ。


笑えたのが、もうじき駅、という頃の出来事。
休み休みとはいえ、さすがに抱っこ歩きがカラダにひびいて、
ちょっと温かいものでも飲んでホッとひと息つきたいぞ、
というときだった。
ありえない店先で、
「おいしい壺やきいも」の張り紙を発見したのだ~。
ほんとうに、車道脇の歩道の、
ゴミ置き場かと思うような場所に、
大きな壺がおいてあるんだもの!
そしてその壺が置かれた台車に、張り紙がしてあったんだ。
50mぐらい(注:イメージ)手前から気づいた自分が
心底おかしかった。
芋センサーのすごさよ…。
しかし、あまりに怪しいので、
あたりに誰もいないことをキョロキョロ見渡してから
そっとその壺に触れてみたんだ。
そうしたら、ちゃんとあったかくって。


それでも、どの店がやっているのかわかりづらくて、
もう一度キョロキョロ見渡して、
その、ありえない店をのぞきこむと、
ニコニコお店の人が出て来てくれたから
ようやく本当だった、と思えた。
ちょっとおもしろい紙袋に入れてもらったら、
やっぱり、芋女の血を濃く引き継いだ息子は……
パチッと目を覚ましたのだった。
そこでまたおかしすぎて、
駅まで、あやしく笑いながら歩いちゃったよ。


春っぽい、ふしぎな午後だったなあ。