じぶんで



来月、ボウズも2歳になる。
男子のか~ちゃんも2年。
オナカの中からだと、もっと長いつきあいになるのか~。


自分とはまったく違う個性がみえかくれするようになってきたせいもあり、
少しはこれまでの育児道を振り返るゆとりも持てるようになったせいもあり、
2歳目前の子をみてシミジミする瞬間がぽつぽつ訪れる今週だった。
とくに今日は、総集編みたいな一日だったなあ。


か~ちゃんの用事にまたつきあってもらった帰り道、
最寄駅に着いたところで、3時のおやつ時間がせまっていた。
じゅうぶん用意していったつもりの好物、干し芋やヌカ漬け、
午前中か~ちゃんが色々やっている間にすっからかんだった。


『おいも!』ときた。きたキタ。
か~ちゃんも、そうかな、と思っていたからね。
今日は、2ヶ所で焼芋が買える日。
1ヶ所はさいきん仕上がりが遅くて、3時には間に合わないことが多い。
そっちのほうがおいしい、鳴門金時があるんだけれど。
のぞくと、看板は出ているけれどまだ機械も熱くなっていなかった。
もう1ヶ所はスーパーの中にあるんだ。
ボウズはもう、それも覚えている。
外からみえるのでのぞくと、ケースが空だった。


『おいも、ないや~、できてないみたい』
『おも、な~い、ね~』繰り返すボウズ。
しかし、今日は、なんだか買って帰りたい気分。
ちょっと待つ事にしてみた。
『おいも、できたかな~』とウロウロ。
『おも、ち~ん、て、いてね』とボウズ。
家ではオーブントースターで焼くからね。
干し芋も、トースターであぶるしね。


あたりを二周りぐらいして、やっぱり今日はボウズも持ちそうだし、
かえってから別のおやつにしようかと最後のチェックをしたら
ちょうどあがってきたんだ。


『おも、あった~』。先にボウズが言った。
なんだかほわっと力がぬけて、
買った芋の袋、ボウズに持たせたんだ。
買物も好きだから袋はいつも持ちたがるけれど
今日はまた特別な感じ。


できたものを買うような、腹減り時間が迫っているとき、
よく利用している施設のラウンジがある。
機嫌が悪くなると帰っても困るし、というか~ちゃん都合に便利な、
手も洗えて、ちゃんとテーブルに座って食べられるところ。
そのこともすでに覚えているボウズ、
しっかり袋を持って、『おも、あっち』と指さした。


最初はか~ちゃんもそう思ったんだ。
だけど、家までゆっくり帰っても、15分というところ。
なんとなく、今日は行けそうな気がして
『おうちでね、持って帰ろ~』とうながしてみた。


『よし、いこ~』歩きはじめたボウズ、
その施設へ曲がる横断歩道をすぎたところで立ち止まった。
首をかしげて『あっち?』って。
『おも、あっち、あっち』。


『モグたんと、ぶ~たんと、お家で一緒に食べようよ、一緒にね』
お気に入りの名前を出してみたら納得して、すっと歩きはじめた。
すごくオナカがへっているはずなのに、と感心。
か~ちゃんも、ボウズも、やればできるのだ。


なんて、思っていたら、疲れたのか、
袋を持ったままじっと立ち尽くして動かなくなった。
ごまかし歩かせて3度目ぐらいで、
『かさん、バイバイ』。


限界か~、持って帰っても機嫌悪くてオッパイとか言い出したらどうしよう、
失敗したかな、と思ったんだ。
しかし今日はあせらないか~ちゃん。


『疲れた? じゃあかあさん、おいも持ってあげる、抱っこする?』。
そう聞くと、すぐ抱っこになると思ったら、今日はボウズも違う。
袋はシッカリはなさない。
歩かずに、歩道に沿った植込みのほうにむかって
しばし考え込んでいる・・・


もしかして、、、
いつもなら、そのへんのベンチで食べるのに
なんでいまさら、帰って食べようなんて言うんだよ、
とか思っていたのかな、という気もした。
じっと待ってみた。
あまり変な念をとばしたりせずに。


そうしたらまた歩きはじめた。
ちょっとだけ、怒っているような感じもする。
ハナミズも、ちょん、とたれて、
やっぱり寒いし疲れてきている様子。
それでも、帰ることを選んでくれたのかな。


最後のさいごで、少しだけ抱っこして帰った。
でも芋の袋は決して離さなかったよ。


これだけひっぱったら、帰ったとたんに
グズグズわあわあ言うかな、と覚悟もしたんだ。
ところが、ジャンパーは自分で脱ごうとするし、
いったん荷物をおいて、手を洗おうとするし、
か~ちゃんが手を洗うまで待ってたヨ。


そして、おだやかに、ちゃんとイスに座って、
『かさん、かわ!』と、むいてくれるまで待って、
モグたんとぶ~たんも連れてきて、
みんな一緒に仲良く食べられた。


やれば、できるね、もう。ふたりとも。
あせった買い食いや、せかして間に合わせようとすることは
なるべくやめようと決意。
そのまえに、できれば、か~ちゃん都合で
ふりまわさないほうがいいけどね。
だんだん、できるようになるかも、歩みよれば、
なんていう気もしたよ。


そのあと、買ってきた本をどうしてもパラパラしたくて
ながら相手で気もそぞろ、の懲りないか~ちゃん。
案のじょう、ボウズは怒りだしたけど、
正直に気持ちを話して、反省して、和解した。(たぶん・・・)
暖房のスイッチをついパチパチしてしまうボウズと
しっかり目をみて話をしたら、そのあと
『スイッチ、バイバイ、かさん、だっこ』なんて
グッとくる展開になった。
台所で片づけをするときには、少しだけなのに、やっぱりちょっと抗議がきて。
しばらくほって片づけに集中していたら、しぶしぶあきらめて遊びに行った。
オフロのあと、ハンカチをひっぱりだして
弁当ごっこに夢中になったボウズに目がいったら、
キラキラみつめかえしてきて喜んで少し遊んだり。
いつもなら、そういうとき、シメシメ、と
か~ちゃん自分の支度に集中して、
夢中で遊ぶボウズの興味深い仕草を
見逃しちゃってるからなあ。
そういうときの子が、いちばんオモシロイのにね。
そこから気づくことも、多いのにね。


そんなふうに、こりないか~ちゃんと、つきあってくれるボウズ、
まだまだゆれながらも、お互い、成長しているな、という余韻を残して
今日はおわったのだった。


また少し、良い関係になれそうだ。
明るい、あかるい。
今度は2歳へ、つづく。