隣の泣き声



あたたかくなってきて、みんな、窓を開けている。
冬のあいだ、し~~ん、としていた
そこかしこから、
いろんな声が聞こえてくるようになった。


半年ぐらい違いの子が隣にもいたはずだけど、
なんにも声が聞こえてこないな~~、
うちの坊主の声、おっきくないかな? なんて
ちょっと心配したりしてたなあ。


『あーあーあーあー! きゃあ!』
聞こえてくると、ウルサイとはちっとも思わない。
ああ、やってるな、元気だな、同じだな、
女の子の声だな、、、


隣のアパートあたりから聞こえてくるのは
たぶん、まだ、うちよりも小さい子だ。
わけがわかってない泣き、ぎゃーっ、とやってる。
ふふふ、と思う。


ゆっくりゆっくり、同じ調子でやさしく話すおばあさんの声。
毎日のように、同じ時間に聞こえてくる。
そういう人も住んでたんだなあ、とわかる。


ほんとに、ウルサイとはちっとも思わない。
むしろ、ほっとする。