『忘れる』と『消えない』



出産のときのことは、自分のカラダを痛めたので
さすがに鮮明に記憶に残っているけれど、
赤子のことはどんどん、思い出せなくなる。


顔は毎日、どんどん変わってゆくし、
つぎつぎといろいろな事がおこって
心配したり様子を見たり、なんだ~~と思ったり。


ちょっと扱い間違ったな、ということもあるけど、
そうそう簡単に壊れてしまうものではないから
『悪かった、もうわかったよ!』
と慣れていけるもの。
で、わかった、慣れた、と思ったら・・・


またすぐ次のステージにいってしまうのだ、赤子が。


いろいろなことが起こっては去り、
先週の心配事がなんだったかも定かではなくなってくる。


妊産婦はホルモンの影響で忘れっぽくなる、と言われるけど、
忘れっぽくないと対応できないよな。
ほんと、ジツに良くできているもんだ!


そして、赤子のほうは。
全く新しい世界で、ものすごい勢いで環境に適応し、
刺激を処理しているのね。


まっさらな細胞に染込む、俗世の濃ゆい刺激。
ころころかわってゆく赤子の顔をながめていると、
この記憶は、理解できなくても、
いつまでもベースに残るものに違いないと思う。


誕生の記憶と、赤子の頃の記憶は、
薄れたり上塗りされたりしても、
決して消えるものではないな、という気がする。


つるつるの幸せな記憶にしてあげられるか。
出てきてよかった、この場所も悪くない、と思わせてあげられるか。
でも、それは責任感とか親としてのうんぬんとかではなくって、
自分の状況を自分で肯定できるか、
自分が楽しんで、イイ気分でいられるか、
それにつきるなって気がする。


妊産婦がお気楽で自己中でいいかげんに忘れっぽくて
迷惑なぐらいハッピーそうでも、
どうかどうか、許してやってください。