顔のみえる産地直売



みかん園のある地域にトレッキングにでかけた。
歩いていると無人直売コーナーの夏みかんに気がつき、
とてものどがかわいていたので立ち止まった。


見た目は傷だらけのみかんたち。
物色していると、道路の反対側のほうから声がした。


みかん園の方のようだ。
そちらでもかごにみかんが置かれている。
ふらふらと寄っていくと、
かごからひょいとみかんをひとつ取り出して、
味見をさせてくれた。


「今年はめずらしく大雪が降ったりねぇ、
 味が出てこなくて」
なんて話しながら、みかんをむいてくれる。


「さっき、もいだばかりなんですよ。
 お茶がわりに食べてはもいで・・・」


とってもみずみずしくて、のどのかわきも
いやされた。
おみやげに四つ買うことにしたら
味見のみかんもつけてくれたので
かえり道々食べた。
四つで200円。


後味がちょっと渋かったのだが、
とにかくみずみずしい。
「もいでしばらくすると味が落ち着く」
ということで、帰ってから食べたものは
渋みもほとんど感じなかった。


傷だらけで艶もなく、
まあ、売り物にはならないみかん。


これがスーパーに並んでいたとして、
ちょっとぐらい安くても、
なかなか買おうと思わないだろう。


でも、スーパーのぴかぴかつるつるみかんより、
ずっと味が濃くておいしかった。


どういうふうにつくられて、
どうしてそうなってしまったのか、
そういうことが見えれば、
はじめから避けてしまうこともないよな。


そりゃ、ぱつんとした、色のきれいな物の方が、
よく出来ているということもあるだろう。
だけど、むいてしまって出したら、
どれぐらいの人が違いをわかるだろう?


スーパーに並ぶから、
どんどん、
つるぴかを求めるように
なってしまったのかもな。


つるぴかより、力強い、味の濃いものを
食べたいなぁ、と思った
みかんとの出会いだった。