やっぱり、よ~く感じてるのね

さいきん、ボウズ、文句も言わずに、
ずっと自分でリュックを持つようになった。
今朝は、か~さんが出かける前の最後の点検をしている間、
勝手に靴下と靴をはき、リュックもしょって、
玄関で待っていたんだ。
電車の座席に座っても、勝手に自分でおろす。


そんなふうだから、そうとう、油断していたのだ。


目的地の駅に着いて、先をゆくボウズをふとみると、
リュックがなかった。


か~さんは、持って来たかどうかすら、「?」ってぐらい、
油断していたんだよね。
で、目的地に向かいながら、ずっと電話で問合せ。


ボウズは、みるみるうちに、しぼんだ。
こっちから聞いてもいないのに、
「おさいふも入れてきた。」
なんてさ。


そう、自分のおさいふまで、自分でしまっていたのね。


「いや、持って来てたよな~、ええ~、どこだろ~」
ひとりごとのようにつぶやいていてたのを受けて、
「ずっとリュック持って来てたよ」とちゃんと言いながら、
たぶん、どんどん、蒼白になっていったボウズ。


か~さんはひとまず、
どこに忘れたかをつきとめることでイッパイ。


「あ、やっぱり、ホームのイスかも・・・」なんて電話しながらつぶやくのも、
もう、全身で、きいていたんだよね。


「うん、そうだ、おイス・・・だと思う、うん。」
抑揚のない声で。
とんでもないことしちゃった、というような表情で。



ずっとまえに、か~さんが持たせた本物のSuicaカードをなくしたときも、
そんなふうだった、そういえば。
そして、なくしちゃうから、と、持ちたがらなくなったんだ。



そのあと、ちょっとしたスイッチで、
ボウズは自信をとりもどして復活したんだけどさ。


これまでどれだけ、その感性を、
か~さんのモヤモヤなんかにつきあうことに使っていたんだろう、
なんて思えてきて、ありがたくて泣きそうになっちゃったよ。



***

いまだに、夜中に目を覚ましちゃって、
か~さんがいないと、泣いて探すボウズ。
隣に寝ているのをみつけると、満面の笑みで、安心して寝直すボウズ。
「おふとん、ぐちゃぐちゃなっちゃったあ~」と、また泣くボウズ。
かけふとんもシーツも、きっちりのばさないと、ダメなんだ。
なんだか、産まれたばかりの頃みたいに、
そんな様子が、うわ~~っと浮かんで来たりもして。


でも、今度ばかりは、さあ。
か~さんは、泣くかわりに、ヤル気になったよ・・・。