はじめての床屋体験



と~ちゃんの散髪ついでにちょっと出かけてみよう、と
ついていったんだ。
雨が降りそうで、今のうちに少し外に出るか、なんて
軽い気持ちでね。


床屋さんに向う途中で、だんだんか~ちゃん、
その気になった。
もしボウズが大丈夫そうだったら・・・
一緒にやってもらってみるか、と。
思いつきか~ちゃんでスマン、息子よ!


家族経営の感じの良いお店で、
店主の1歳のお孫さんがたまに遊んでいるぐらいだから
べつに散髪しなくても中で待たせてくれたりするんだ。
だから、ひとまず店の中へ。


『と~さんと一緒にチョキチョキする?』と聞くと、
あらぬ気配を察知してか、『バイバイッ』と逃げ出そうとする。
そのうちにと~ちゃんの番がきて、
『あ、と~さんチョキチョキだよ、みてみて』なんて
雰囲気にならしはじめるか~ちゃん・・・
お店の人たちもそれを見守ってくれはじめた。


カウンターのようなところでイスに座ってお絵描きしながら
と~ちゃんの散髪をチラチラ。
ご機嫌になってきたところでもう一度、こんどはお店の人たちとみんなで
『と~さんの隣に座ってみる? チョキチョキしようか~』って。
そうしたら、その気になったんだ、ボウズ。
それで初床屋決定。


8割方切り終えるまではうまくいった。
怪訝そうな、ダマされた~というような表情をみせるときもあったけれど
声をあげたりすることはなく、順調。
そのまま行くかと思いきや・・・


肌が弱いんだよね、ボウズ。
切った毛が首におちてきたあたりで、『イタイ』と騒ぎはじめた。
そのうちエスカレートして、『あっち、あっち』と
身をよじってギャーギャー泣き出したんだ。


赤くなった肌をみて、か~ちゃんちょっと、興にのったことを反省・・・
しかし、もう自分で切るのも限界だったんだ。髪の毛多いんだもの。
と~ちゃんとそっくりのクセもあるし、そぐように切るのは難しくてさ。
ここまでやったからには、納得行くまでやってもらわねばならんのだ、と
続行を試みるか~ちゃんなのであった。ゴメンよ。


でも、それでもまだ良い方だよ、とお店の人々には励まされた。


しばしオッパイ休憩などとって、外に少し出てみたり
オモチャを貸していただいたりしながら
ひとまずと~ちゃんが終わるのを待った。
そして、今度はと~ちゃんのヒザへ。


しかしもう、ケープをつけたとたんに逃げ出そうと立ち上がる。
そうだよねえ・・・
結局さいごには、みんなでおさえつけて
ほとんど無理矢理に終わらせたんだ。
これはトラウマになるか!?
もう一緒に行ってもらえないかなあ、どうかなあ・・・


申し訳ない気持ちにもなったけれど、
か~ちゃんはまたちょっとオモシロ体験でもあった。
さすが、切り終わったボウズは男の子っぽくすっきりして
あたらしい感じにみえたこともあってね。
なんだか、成長も感じちゃったんだよね~また。


いくつになったら、男同士、と~ちゃんとふたりで
散髪に行けるようになるんだろうか。
その、はじめの一歩だったね。