サボテンでさえ



「なんでもいいから何かを育てると自分の限界がわかる」
というようなセリフ、よしもとばなな『キッチン』で印象的だった。
ほかのいろんな人の話のなかでも、
おなじような言葉に出会うことがたびたびある。


自分は、ものすごく育てるのが簡単な
数種類の観葉植物と一緒に過ごしている。
実家で育っていたのを株分けしてもらったものがほとんどで、
なかには、自分が産まれた頃からのものもある。


最近、わりとあたらしく仲間入りしたちいさなサボテンを、
枯らしてしまいそうになった。
買ってきたときの半分ぐらいの太さになってしまうまで気がつかなかった。


とてもちいさな植木鉢に入ったまま、
たまには陽に当てようと移動して、
ほかの植木鉢にかくれてしまってみえなくなっていた。
ほかのものに水やりをするときにも思い出さなかったらしい。


しょっちゅう、目をやってなごませてもらってるし、
話しかけたりもしているというのに、
定期的に水やりもできてないし、
なにより、自分で買ってきたサボテンを忘れるとは。


これに気がついたのは、とくにサボテンが好きな相方。


相方は、定期的に水やりをするかというと
それはあまり得意ではない。
だけど、元気がないとか、ちょっと育ったとか、
そういうことはすぐ気がつく。


自分は、枯れてきたり、ほこりのついた葉っぱなどには
よく気がついて、霧吹きで水をかけたり、間引いたりは
せっせとやる。
それなのに、だ。


自分の限界というか、欠けている視点とか、クセのようなものは、
たしかにそのあたりからつなげて見つめられるかもしれないと思う。