あの頃は、すぐやめちゃってたんだよ、それ僕!



どうして、だったっけ。
どんな風にできるようになったんだっけ?
いつ頃だった?


すぐやめちゃってたよね、
はじめは。
もうできない!
やらない!って。


そう、みんな、
できない、できない、って
かんしゃくおこしたり、
すぐ『やって!』って預けてきたり、
簡単にあきらめてどっかいっちゃったり。
そのことは、覚えてるんだ。


新しくチャレンジしはじめ隊に、
みんなそうだったんだから、
できるよ、って、言いながら、
どうやるか、やってみせてた。


そしたら、


それ、僕だよ!
それ、ぼく〜〜〜


って、先にできるようになった子たち、
まっすぐに言ってくれて。



あのね、こうやったらいいんだよ、
こういう風にやったらできるかもよ、

なんて、
ひとつじゃなくて、いろいろに、
やり方をやってみせてくれた。
得意気に、けれど、優しく、
教えてくれていた。


そして。
でもこれ、さいしょ、
あなたが教えてくれたんだよ、って。


僕、教えてもらったんだよ、
あなたに、って、
こうやってやるって教えてもらったよ?
って、言うんだ。


ん?わたし?そうかな。
そうだっけ?
ぜんぜん、覚えてなかった、
そんなふうには。


みんなできた方が
わたしも楽しいから、
仲間になって欲しくて、
知っていることは全部、
いろいろに伝えた。
あきらめたくなる気持ちも、
やめたくなる気持ちも想像できたから、
そういう子たちがいても、
いやじゃなかった。
自分の『あの頃』のことも、
そうしながら、
なんども思い出してはいた。


毎日、あっちもこっちも
教えて、やって、で
気持ちが忙しかったような気も、
ちょっと、するけど。


そして。
あっという間に、
もしかしたらわたしより、
上手になっていた。


今日は特別、上手だった。
難しいことを、
連続で、キメて、
みて! みて!って、
めずらしく、
しつこかったね。





そんなふうな体験を
共にすることができたんだな、って、
あなたはきっとすぐ忘れるだろうけど。



ずっと覚えてるよ、
センセイは・・・