凍てつく前に


大雨ですっかり葉っぱの落ちた北国。
残るはカラマツばかりなり、という
晩秋の趣が、はやくも漂う森のなか。


今年は何ごとも
一気に進むことが多かったせいか
この、白い季節への変わり際も
たいそうキッパリしていて
植物たちの冬支度も
なぜか目立ってみえる。


次の春にのびる予定の
葉っぱたちがくるまった冬芽も
いくつかの木々で
すでにこんもりふくらんでいる。


地面では
フキの芽もふくらんでいる。
ミズバショウ
若い鮮やかな黄緑色の葉を
かたく巻いて
準備していた。


しばれる前から
こうやって準備して
冬の間は
ぎゅ~~っとまとまって
時を待つんだよね。


ふたつ先の季節への助走。


その姿から感じるのは
『備え』なんていうような
刹那的なものではなくて。


つながってつづいていく
流れのなかで落ち着く
潔さのような感覚。


変わりつづけることは
知っているから
凍てつく冬もこわくない・・・


ただ、状態が
変化するだけで
ずっと巡っていく
何かがあるという
安心感なんだ。