それでもやっぱり



欲があるとするならば。


美味しいものが食べたい。


映画『マトリックス』を
20何年前? 20年前??に観て、
何を一番覚えているかというと、
錠剤みたいなものが日常食、というところ。


村上龍の『歌うクジラ』の
棒食ってのも、ああ、って。


他にもいろいろあるけれど。


美味しいもの、ってのは
フルコース的なものとか
こじゃれたものとか
こってりボリュームたっぷりとか
ヘルシーで見目麗しいとか

そういうことではなくて。


木の実そのままとかでも、よくて。


薬漬けでなんとかふくらませたもの、とか
形だけ整えたもの、とかではなく

ちゃんと
土・水・風・陽の光、人の想い、
そういうものを
それぞれのリズムでうけとって
消化していった
丸ごとのもの。


そういうものを
わたしはいただいて
生きていきたい。


それには。
そういうものを
いただけるというのは
どう在ればいいか。

どう在れば、
その循環のなかに
入れてもらえるか。


自分だけもらっておしまいでなく
つながっていくように
ちゃんとタイミングと量をみて
関われるか。


本当にそうしたい、という
何度もわいてくる欲に
忠実になってみると
それだけではない背景に
気がいくというもの。


いただくものは
食べものだけではなくて。


でも、ヒトは。
ヒトのカラダは。


食べものを
いただくように
できている。


それを通して
うけとるものがある。
それを通すことで
わたせるものがある。



ほんとうに循環と
ひとつになったときには
欲しなくとも
飢えることはないだろう。