『志ちや』


たまには
バスを乗り間違ってみたり
するものである。

乗り間違ったわけではないが
ぼーーーっとしたまま
こっちでもいっか、と適当にして
乗ってから降りる場所を決めて。

遠回りになっちゃったんだけど
春だし、まあ
だいたいこっちに歩けばいいわけだし、
という感じの停留所で降りて。


すると
『志ちや』

がみえた。

志、かよ!


ぐらいで
通り過ぎようか、

と思いきや

久々に街に出て
そんな看板みたらねえ。


ぐるっとまわって
その表看板の方に
いっちゃうよ、やっぱり。

まだ時間には
余裕があるし。


と、ぐるっとまわると

しちやだらけ。

あっちもこっちも
看板は、しちや。


おお、久しぶりじゃ

札幌でこんな道に来たのは
初めてだなぁ、と
予定変更して歩く。

すると、

棒に当たる。


棒ではないが、
おお、ここにあったのか!!
という店を発見。

パン屋さんを、発見。
いつもどこかで噂のパン屋さん。




迷わず店に入ると

すぐ目の前に

自分の名前の
パンを発見。


いっこだけ残ってる!!
大好きな感じのパン!!
ツイてる★☆★

…か、どうかはわからないが
お弁当を持っていたから
店内をさんざん
なめまわし見したあげく
そのパンをひとつだけ買う。

お客さんが考えたパンを実際につくり、
その人の名前をつけるパン屋さん。
噂は、それだけではない。
気になっていた店主の噺は
そんなことだけではなく。

そこから少し離れた繁華街に
夜中に開いている支店もある
そのパン屋さんからは



志事

の香りがして

しかし
重くはなくて
ちょうどよい。

やっぱり
パンは
どれもこれも
本当に美味しそう。


志ちや通りも

まあ、真っ昼間だったけれど
重い空気は
漂っていなくて

ただ
今どこにいて
わたしはダレだったか
ちょっと
どっかに行っちゃうような
そんな通りで。
そこに、あったのか、
この店は。


その後の予定まで
ぜんぶが





な、いちにちの
ワープな出会い。