住むということ



上京組のメンタリティ、ってのは、
よくいろんな物語のテーマになるけど、
それにあたると、なんだかいいなあ、と
違うせつなさで思ってしまう。


自分は、産まれは本州ではないが、
しゃべるかしゃべらないかぐらいで
東京に来ている。
そして東京内で3回引越していて、
その後神奈川に移った。


幼稚園と小学校はとても離れた土地だったし、
小学校で一回転校している。
中学・高校は学区内のところに行っていない。
大学で実家を離れ、
そしてまたいま、神奈川に住んでいる。


祖父母がわりとはやくに亡くなっていることもあり、
親戚付き合いもあまり密ではなく、
盆や正月だからと親が帰省する習慣もない。


というわけで、地元ってどこだろう、
帰るところってないんだよな、
という感じだった、いつも。
住んでいたところも、
新興住宅地のような、
あまり歴史のないところが
多かったりして。


大学では、実家が東京近郊ということを
うらやましがられたりしたけれど、
帰省のたびにおいしい野菜や果物を持ち帰る人達のほうが
ずっといいのにな、と思っていた。
卒業後に地元に戻る人も、
拠点があっていいなあ、という目で見ていた。


東京近郊に住んでいても、
産まれたときからずっと同じ家や地域に住んでいたり、
親戚が近くにいる人はまた全然別だろうな。


ないものねだり、というやつかもしれないけど、
自分がもし家族を増やすならば、
「地元」って思えるところに住みたいなぁ、
となんとなく思う。


そうでなければ、ずっと転々としていたい気がする。
そのときどきで、良いと思うところへ。
まあ、それを実行するには、腕がいるけど。


どこに住むかって、
どういう仕事を選ぶか、に含まれているんだよなあ。
大事だよなあ。


住んでいるところになじんでいなかった自分は、
いまごろそんなことに思いを馳せている。